英語にするのが難しい「○○化」
前回のブログ記事では、英語にするのが難しい言葉として「○○化」を取り上げ、その中でも IT文書でよく使われるものについて訳し方を紹介しました。
「○○化」の中には、"virtualization" と訳される「仮想化」のように単語の対訳があるものもあれば、「API化」のように対訳がないものもありました。
今回は、英語に対訳のない「○○化」を英訳しなければいけない時の注意点と対策をご紹介します。
「○○化」を英語にする時の傾向と対策
書き換える
英語に対訳のない「○○化」の中には、翻訳ツールを使っても適切な訳にならないものもあります。例えば、「IT化」という言葉を使った文章を翻訳ツールにかけたところ、"IT-ize" という英語に存在しない言葉として翻訳されたことがありました。
対訳のない「○○化」は、英語でも意味の通る表現に書き換える必要があります。
「IT化」であれば、"modernize ~ by IT" (IT で ~ をモダナイズする)、"automate ~ by IT" (IT で ~ を自動化する ) 、もしくは近い意味の "digitalize ~" (~ をデジタル化する) のように書き換えます。
その他の対訳のない「○○化」と書き換えは、前回のブログ記事を参考にしてみてください。
パラレリズムを崩さない
パラレリズムとは、同じスタイルの言葉や文章を並べる修辞法です。例えば、箇条書きで名詞だけを並べる、動詞だけを並べる、完全文だけを並べるのもパラレリズムです。パラレリズムにより、統一性を持たせることで、分かりやすく、読みやすい文章になります。
例えば、以下の箇条書きは、日本語だと一見「○○化」で揃えられたパラレリズムになっています。
クラウドネイティブに向けた課題
しかし、これを Google 翻訳にかけると、パラレリズムが崩れています。"virtualization" と "containerization" は、それぞれ「仮想化」と「コンテナ化」と単語による対訳になっていますが、"API conversion" は、2語になっている上に、「API 変換」という意味でもあるので、元の日本語の意味と少し変わっています。また、"cloud" と "microservice" は「○○化すること」ではなく、「○○化された後の状態」の意味になっています。
Challenges for cloud native
- Virtualization
- cloud
- containerization
- API conversion
- microservices
「仮想化」と「コンテナ化」の他は1語にはできませんが、パラレリズムを意識して「○○化」に相当する意味の名詞または名詞句で揃えると、以下のように書き換えることができます。
Challenges for cloud native
- virtualization
- cloud adoption
- containerization
- API integration
- rearchitecting to microservices
過程ではなく、結果で書く
「○○化」は、現状から○○の状態にするための「過程」を表す言葉と言えます。しかし、ここまで見てきたように、英語に過程を表現する言葉がない場合もあります。そういう場合は、「○○化」した後の「結果」で表現した方が分かりやすくなります。先ほどまでの例を結果で書くと、以下のようになります。
Technologies for cloud native
- virtualization
- cloud
- containers
- API
- microservices
「仮想化」については、それ自体が技術の名前のため、"virtualization" のままとしています。その他は、技術名を表す名詞にしています。
英語にする文章ではなるべく「○○化」を避けて、結果に注目して書くと良いでしょう。