海外エンジニアがチャットやコメントでよく使う略語

Photo by Mikhail Nilov

日本と海外のエンジニアに見る略語の使い方の違い

日本の IT業界では、プレゼン、リスケ、スキトラ、ステコミなど、カタカナ略語がよく使われますが、英語圏でも省略形は使われます。ただし、日本語の省略形は単語を短くすることが多いのに対して、英語ではフレーズの各単語の頭文字で表す頭字語がよく使われます。

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今回は、Slack や Teams などのチャット、Pull Request (PR)のコメントなどで、海外のエンジニアがよく使う略語をご紹介します。

チャットやコメントで使われる略語

AFAIK: as far as I know

意味: 私の知る限りでは、私の知っている範囲では

自分では正しいと信じているものの 100% の確信がない時に、文章の先頭か末尾に付加して使います。万が一間違っている情報が正しい情報として伝わらないように予防線を張っているところがエンジニアらしいですね。関西弁で言うところの「知らんけど」です。

  • AFAIK, there are no changes to the plan. (私の知る限りでは、計画に変更はありません。)
  • Project end is next May 31, AFAIK. (私の知る限りでは、プロジェクトの終わりは5月31日です。)

aka: also known as

意味: ~としても知られている、別名~

"(あまり知られていない)正式名または本名 aka (よく知られている)別名" の形式で使います。

  • Amazon Elastic Compute Cloud aka EC2

ASAP: as soon as possible

意味: できるだけ早く

IT現場以外でも英語がよく使われる外資系企業などでは昔からよく使われてきた略語です。やや命令口調のニュアンスもあるため、社外の人や上司などに対しては使わない方が良い表現です。

  • Please review and approve the PR, ASAP. (大至急、PR のレビューと承認をお願いします。)

brb: be right back

意味: すぐ戻ります

"I'll be right back." の省略形 "be right back." をさらに頭字語にしたものです。オンラインミーティングを中座する時に使います。たぶんトイレに行ってます。

BTW: by the way

意味: ところで、ちなみに、なお

話題を変えるときに使います。

  • BTW, I wanted to thank you for your help last week. (ところで、先週は大変お世話になりました。)

FYI: for your information

意味: ご参考までに、参考情報として、ちなみに

こちらも外資系企業などでは一般的に使われてきた略語です。チャットが普及する以前もメールの件名や、メールを転送する時に書き足すような使われ方をしてきました。

  • FYI, the company is implementing a new expense reimbursement process starting next month. (参考までに、同社は来月から新しい経費精算プロセスを導入します。)

IMO: in my opinion / IMHO: in my humble opinion

意味(IMO): 私の考えでは、思いますに、私見では
意味 (IMHO): 私に言わせていただければ、私のつたない意見としては、僭越ながら申し上げると

個人的な意見や見解を述べる際に使います。

謙虚や謙遜の意味の humble が加わると、さらにへりくだった言い方になります。

  • IMO, the team's performance exceeded expectations. (私の考えでは、チームのパフォーマンスは期待以上だった。)
  • IMHO, being open to different perspectives fosters a more inclusive environment. (私に言わせていただければ、異なる視点に対してオープンであることは、よりインクルーシブな環境を醸成すると考えています。)

LGTM: looks good to me

意味: 私には良く見える、いい感じ

PR のレビューなどで使われます。2000年代に Google で使われ始めたと言われています。上位者による承認というよりは、同僚によるピアレビューのニュアンスがあります。

一時期、Qitta の「いいね」機能としても採用されていたため、日本のエンジニアにも知られた略語かと思います。なお、現在では「LGTM」から「いいね」に戻っています。

Qiitaの「いいね」が「LGTM」に変わります - Qiita Blog

Qiitaの「LGTM」を「いいね」に戻します - Qiita Blog

LMK: let me know

意味: 知らせてください、教えてください、お知らせください

相手や周りの意見を求める際に使います。後述の WDYT より少し柔らかな表現です。

  • I created a draft architecture, LMK your thoughts. (アーキテクチャーをドラフトしたので、ご意見ください。)

Nit: nitpick

意味: 細かいですが、重箱の隅をつつくようですが

主にコードレビューで使われる略語です。コード全体の品質に大きな影響を及ぼすものではない、些末な問題を指摘する際にレビュアーが使います。レビューコメントの先頭に "nit: " と付けて使われることが多いです。

  • Nit: this bracket should be placed on a new line (nit: このカッコの前には改行を入れるべき)

シラミの卵 (nit) を摘み取る (pick) という意味から転じて、「あら探しをする」「重箱の隅をつつく」という意味の "nitpick" を省略した言葉です。

nit なレビューコメントはリリースするスピードを重視して、実装者の判断により無視しても良いとしている組織もありますが、nit: とつけておきながら修正しないと承認してくれないレビューアーもいます。

What is a "Nit" in a code review?

The Standard of Code Review | eng-practices

ntd: need to drop

意味: 抜けます、落ちます

次の予定などがあって、自分だけオンラインミーティングを抜けなければいけないような時に使います。

TBD: to be decided, to be determined

意味: 将来決定する、未定

未定、未決定、未確定の事柄を示す際に使います。チャットやコメントだけでなく、文書でもよく使われます。

  • The release date of the product is TBD. (プロダクトのリリース日は未定です。)

TBH: to be honest

意味: 正直に言うと、率直に言うと、はっきり言って、ぶっちゃけ

率直な考えを伝える時に使います。ややカジュアルなニュアンスがあるため、信頼関係のある相手に対して使います。

  • TBH, I think we should reconsider our approach. (率直に言うと、アプローチを再検討すべきだと思います。)

TL;DR: too long; didn't read

意味: 長過ぎ。読んでない。、長文うざい

長文に対して読んでいないことを皮肉を込めて伝える表現です。そこから転じて、長文の要約を示す際にも使われます。

英語圏でもインターネットスラングの域をまだ出ていない表現で、やや相手を小馬鹿にしたようなニュアンスも含むので、オフィシャルな場では使うのを避け、使う場合も信頼関係のある相手に限った方が良いです。

TTYL: talk to you later

意味: あとでまた話そう、ではまた、またね

チャットを一旦終えるような時に使います。あとで実際に話すこともあれば、単なる挨拶の場合もあります。

WDYT: what do you think

意味: どう思う?

相手や周りの意見を求める際に使います。前述の LMK より答えを求める意思が明確なニュアンスがあります。

  • WDYT about the latest technology trends? (最近の技術トレンドについてどう思いますか?)

略語を使う際の注意点

今回ご紹介した略語の内、例文のないものは単独で使われることが多いものになります。

また、頭字語は一般的に大文字で書きますが、カジュアルなチャットでは小文字のままで使われることもあります。例えば、brb や ntd とだけ打ち込んでいなくなる場面もよく見かけます。