Customer, Client, Account の違い

「顧客」に相当する3つの英語
B2C や B2B の ITシステムに必ずと言っても良いほど登場する概念に「顧客」があります。「顧客」は「製品やサービスを販売する相手」を意味しますが、企業や部門によっては、「お客様」、「得意先」、「取引先」のような言い方をすることもあります。
ITの文脈だと、プロダクトの UI 上に表示されたり、データベースの項目名になったりします。また、プロダクトを売り込む際の提案書など、各種文書でも使われます。
「顧客」を和英辞典で調べてみると、いくつか相当する英単語がありますが、代表的なものとしては、"customer"、"client"、"account"などがあります。ここからは、この3つの単語の違いと使い分け方を考えていきます。
Customer
"customer" は、「商品またはサービスを購入する人」を意味します。直訳すると「購入者」になります。この時の顧客は、不特定多数の顧客を指すことが一般的です。
小売店、レストラン、レジャー施設、サブスクリプションベースの企業、SaaS企業などの顧客は、"customer" と呼ばれます。
Client
"client" は、「専門的なアドバイスやサービスを依頼する人」を意味します。直訳すると「依頼人」なります。
法律事務所、会計事務所、広告代理店、デザイン事務所、コンサルティングファームなどの顧客は、"client" と呼ばれます。
Account
"account" は、元々「記録を必要とする商取引」や「事業、銀行などでお金を保管する取り決め = 口座 (account)」を意味しており、そこから「口座を持つ顧客」の意味に転じました。
"customer" と "client" は、メールなど顧客とのコミュニケーションで使われることもありますが、"account" はあまり顧客に向けて使われることはなく、"They are one our most important accounts" のように事業者側の内部で使われることが多いです。顧客とのやりとりで使う場合も、口座やシステムのユーザーアカウントの意味で使う場合が多いと考えられます。
"account" は、このブログでも英訳の際に注意が必要な言葉として以前紹介しました。
データモデルにおける「顧客」の表し方
「顧客」をデータモデルに表す時、エンティティ―名として "customer" はよく使われます。「受注」と「発注」の記事で紹介した Microsoft SQL Server のサンプルデータベース、AdventureWorks と Wide World Importers でも、Customer テーブルがあります。AdventureWorks は大規模多国籍製造企業、Wide World Importers はノベルティ商品の輸入と販売を行っている卸売業者として、どちらも "customer" を顧客として持つタイプの業態です。

AdventureWorks サンプル データベース - SQL Server | Microsoft Learn

Wide World Importers - SQL 用のサンプル データベース - SQL Server | Microsoft Learn
一方、"client" はあまりデータベースのテーブル名としては使われないようです。"client" を顧客として持つタイプの業態も "customer" を使うか、代わりに "account" を使うこともあります。
私が現在所属している会社はコンサルティングファームなので、契約書に相当する Statement Of Work (SOW) などでは、お客様を指して "client" の語を使っています。社内では Customer Relationship Management (CRM) のツールとして Salesforce を使っていますが、Salesforce では顧客に相当するエンティティ―として "Account" が使われています。コンサルティングファームでは、お客様と長期的な関係を築き、プロジェクトをいくつも提案・実行していくことから、商取引を記録していくという意味に由来する "account" は CRMシステムで用いるエンティティ―名としては自然な使い方と言えます。



